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笹幸恵
2018.12.7 18:48日々の出来事

多用途運用護衛艦だってさ。

護衛艦「いずも」と「かが」は、
改修して戦闘機が着艦できるようにするという。
そうなるとどう見ても航空母艦(空母)なのだけど、
防衛大綱に関する与党のワーキングチーム(WT)は
名称を「多用途運用護衛艦」に決めた。

もともと「自衛のための必要最小限度の範囲」を超えるから、
攻撃型空母は保有できないという見解を政府は示してきた。
じゃあ防御型空母でどうだ、といったら、
WTの中で「空母はダメ!」

じゃあ「多用途運用母艦」はどうだ、といったら、
「母艦は空母を連想させるからダメ!」

ってことで、「多用途運用護衛艦」になった。

バカじゃないのか。

そもそも空母がダメっていうのがおかしい。
軍事アレルギーもたいがいにせいよ。
「母艦」も空母を連想させる……意味不明。

用途が空母なら、それは空母だ。
名称だけ変えて誤魔化して、なあなあで運用するの?
多用途に?
そっちのほうがよほど危険じゃないですか?

自衛隊明記だけして、自衛隊を軍隊として位置付けず、
結果、コントロールもできないようにしてしまう
自民党改憲案と同じだね。
「多用途に運用」する先に、戦争があるかもしれないのに。

そして護憲派もきっとなあなあで、
このいかさまフレーズに乗っかるんだろう。
「これは空母じゃない!」
「護衛艦なんだ!」
「多用途で運用できる護衛艦なんだ!」
って思っていれば、本質を見ずにいられるもんね。


空母が必要なら、ちゃんと国民に説明して、
「これは空母です」と言えばいい。
それが政治家の役割だ。
もっとも、それにはまず自衛隊を「実力組織」ではなく
「軍隊」と認めなければならない。
それができないから、空母も「空母じゃない」って
詭弁を弄さなくてはならない。

自衛隊のいかさまフレーズも、いい加減うんざり。
一体いつになったら、我が国は軍事と真正面から
向き合うことができるのだろう。


笹幸恵

昭和49年、神奈川県生まれ。ジャーナリスト。大妻女子大学短期大学部卒業後、出版社の編集記者を経て、平成13年にフリーとなる。国内外の戦争遺跡巡りや、戦場となった地への慰霊巡拝などを続け、大東亜戦争をテーマにした記事や書籍を発表。現在は、戦友会である「全国ソロモン会」常任理事を務める。戦争経験者の講演会を中心とする近現代史研究会(PandA会)主宰。大妻女子大学非常勤講師。國學院大學大学院文学研究科博士前期課程修了(歴史学修士)。著書に『女ひとり玉砕の島を行く』(文藝春秋)、『「白紙召集」で散る-軍属たちのガダルカナル戦記』(新潮社)、『「日本男児」という生き方』(草思社)、『沖縄戦 二十四歳の大隊長』(学研パブリッシング)など。

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